ソーシャルキャピタルが原因となって社内で不祥事が起こる事を論じている。
ソーシャルキャピタルと社内外との人的ネットワークや学歴と言ったものから構成されているとしている。これは納得するのだが、5章のケースはどうなのだろうか。これは一次資料にあたっているとは思えない。新聞など報道ベースで書いているのではないかと思える。
実際にこの取上げられた会社のうち一つを知っているが、こういう書き方で良いのか疑問に思えるところがある。
また企業不祥事は全社を揺るがすような大きな事件もあれば、記載ミスとまでは言わないにせよかなり軽微なものまで一括して扱っているように思える。
また集団凝集性についても、どのような構成概念から形成されているのかが明確ではないため、何となくでしか理解できない。
新書レベルでそこまで厳密にやれというのは酷かもしれないが、せっかく面白いネタをここで台無しにしているように思えてならない。

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企業不祥事はなぜ起きるのか - ソーシャル・キャピタルから読み解く組織風土 (中公新書 2426) 新書 – 2017/3/21
稲葉 陽二
(著)
三菱自工のリコール隠しや東芝の不正会計など、企業の存続をゆるがす不祥事が続発している。なぜこのような不祥事が起こるのか。東証一部上場企業を分析し「不祥事を起こしやすい会社」をモデル化した著者は、トップの暴走とそれを止められない社内風土=企業内のソーシャル・キャピタルのあり方に原因があるという。「強いリーダーシップ」や「各部門のサイロ化」が危ない等、意外な知見も。あなたの会社は大丈夫?
- 本の長さ203ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2017/3/21
- ISBN-104121024265
- ISBN-13978-4121024268
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2017/3/21)
- 発売日 : 2017/3/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 203ページ
- ISBN-10 : 4121024265
- ISBN-13 : 978-4121024268
- Amazon 売れ筋ランキング: - 544,929位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年11月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は壮大なテーマを新書でわかりやすく、といった構成だが、逆にわかり難い。結論は感覚的に同意し易いが、結論を導く過程はお粗末そのもの。参考文献が引用されておらず、ハッキリ言って根拠レスである。更に、ソーシャル・キャピタルがメインテーマであるが、実証研究におけるソーシャル・キャピタルの代理変数が経営者の年齢や勤続年数などであり、全く理解できない。相関と因果の取り違えのように読めてしまう。キチンと参考文献を引用するなり、説得力を持たせてもらいたい。公表できない内容であれば新書レベルで中途半端に書くのは如何なものかと思う
2017年6月15日に日本でレビュー済み
面白くはありました。
ただ、この手のテーマだと、事例を記述して終わりのものが多いなか、本書はデータ解析的アプローチとなっている点が面白そうと思い購入したのですが、その点は物足りなさが残りました。
たとえば、代表取締役と他の取締役との「年齢差」が、代表取締役が年上で年齢差が大きいほど閉鎖的、などとして、取締役会内の年齢差と不祥事発生との相関をまとめたりしているのですが、公表されているデータでは年齢データぐらいしかないのかもしれませんが、なんだか隔靴掻痒な感じでした。
とはいえ、こういう研究分野は、数値化できるデータを集め蓄積していくことが大事なのだと思いますので、先駆的にまとめられたということで、一読の価値はあると思います。
ご研究継続の今後への期待も込めて星3つとさせていただきました。
ただ、この手のテーマだと、事例を記述して終わりのものが多いなか、本書はデータ解析的アプローチとなっている点が面白そうと思い購入したのですが、その点は物足りなさが残りました。
たとえば、代表取締役と他の取締役との「年齢差」が、代表取締役が年上で年齢差が大きいほど閉鎖的、などとして、取締役会内の年齢差と不祥事発生との相関をまとめたりしているのですが、公表されているデータでは年齢データぐらいしかないのかもしれませんが、なんだか隔靴掻痒な感じでした。
とはいえ、こういう研究分野は、数値化できるデータを集め蓄積していくことが大事なのだと思いますので、先駆的にまとめられたということで、一読の価値はあると思います。
ご研究継続の今後への期待も込めて星3つとさせていただきました。
2017年5月18日に日本でレビュー済み
本書は、いま旬な話題「企業不祥事」につき、頻繁に取り沙汰される「企業風土」を社会関係資本の観点から検討しながら、論じています。
以下のような定義をしています。
企業不祥事:会社の役職員による不正行為や、重大な法令違反、社会規範に反する行為で、会社に対する社会の信頼を損なわせる不名誉な事象。
企業風土:企業内で過去のしがらみを背負った幹部職員集団が企業経営を牛耳るネットワーク状態=企業内社会関係資本。
社会関係資本:ソーシャルキャピタル。会社内外の(当事者だけでなく第三者にも影響を及ぼす、外部性を伴う)ネットワーク、それに基づく社内規範と相互信頼
章立てとしては、企業風土の吟味、企業統治改革の推移、企業不祥事の定義と分類、企業不祥事の原因の検討、社会関係資本視点での企業統治の問題、その実証、不祥事の未然防止、働きやすい会社のための提言、という具合に進みます。
筆者の分析によれば、要は不祥事は組織トップの関与によるものであり、タコつぼ化(サイロ・エフェクト)とグループシンクの存在をその主要因に掲げています。
ケーススタディあたりまでは、よくまとまっておりページを繰る手もリズミカルだったのですが、実証のあたりで、やや疑問符もあったように思います。凝集性と閉鎖性の類比、対比による仮設への因果思考を展開しますが、縦軸の凝集性を役員全体の生え抜き度とし、横軸の閉鎖性を社長の生え抜き度とするあたりは、なんとなく結論ありきの解析を思わせます。事実、結論としては、暫定的な論考と断わってはいるものの、不祥事の原因はトップであり、その未然防止にはワンマン体制を壊し、グループシンクさせず、サイロを外に開いた組織に変え、院政をやめる、という優等生的で言い古された感じも否めません。
ただし、データ分析がやや冗長とはいえその労力には敬意を払いたく、また新書としての読み応えやまとまりも十分であり、旬な話題を短期間でまとめたことも評価されていいように思います。
というわけで、☆4.5を四捨五入して5つにしてみました。
以下のような定義をしています。
企業不祥事:会社の役職員による不正行為や、重大な法令違反、社会規範に反する行為で、会社に対する社会の信頼を損なわせる不名誉な事象。
企業風土:企業内で過去のしがらみを背負った幹部職員集団が企業経営を牛耳るネットワーク状態=企業内社会関係資本。
社会関係資本:ソーシャルキャピタル。会社内外の(当事者だけでなく第三者にも影響を及ぼす、外部性を伴う)ネットワーク、それに基づく社内規範と相互信頼
章立てとしては、企業風土の吟味、企業統治改革の推移、企業不祥事の定義と分類、企業不祥事の原因の検討、社会関係資本視点での企業統治の問題、その実証、不祥事の未然防止、働きやすい会社のための提言、という具合に進みます。
筆者の分析によれば、要は不祥事は組織トップの関与によるものであり、タコつぼ化(サイロ・エフェクト)とグループシンクの存在をその主要因に掲げています。
ケーススタディあたりまでは、よくまとまっておりページを繰る手もリズミカルだったのですが、実証のあたりで、やや疑問符もあったように思います。凝集性と閉鎖性の類比、対比による仮設への因果思考を展開しますが、縦軸の凝集性を役員全体の生え抜き度とし、横軸の閉鎖性を社長の生え抜き度とするあたりは、なんとなく結論ありきの解析を思わせます。事実、結論としては、暫定的な論考と断わってはいるものの、不祥事の原因はトップであり、その未然防止にはワンマン体制を壊し、グループシンクさせず、サイロを外に開いた組織に変え、院政をやめる、という優等生的で言い古された感じも否めません。
ただし、データ分析がやや冗長とはいえその労力には敬意を払いたく、また新書としての読み応えやまとまりも十分であり、旬な話題を短期間でまとめたことも評価されていいように思います。
というわけで、☆4.5を四捨五入して5つにしてみました。
2017年8月4日に日本でレビュー済み
本書は、不祥事を起こす人のつながりに着目して、社会学的なアプローチ(社会関係資本)を
している点に特徴がある。
6つの事例を分析して、その原因として、サイロ、グループシンク、院政を仮説として挙げている。
日系企業が陥りやすいパターンと言えよう。帯に「強い絆が会社をつぶす!」とあるが、その通り
であろう。不祥事を、凝集性と閉鎖性の2軸で整理している点は得心がいく。
残念なのは、上場企業の大きなデータを使いながら、その分析に単なる相関係数で終始している点
である。しかしながら、「組織風土」を考えるうえで一読の価値があると思われる。
している点に特徴がある。
6つの事例を分析して、その原因として、サイロ、グループシンク、院政を仮説として挙げている。
日系企業が陥りやすいパターンと言えよう。帯に「強い絆が会社をつぶす!」とあるが、その通り
であろう。不祥事を、凝集性と閉鎖性の2軸で整理している点は得心がいく。
残念なのは、上場企業の大きなデータを使いながら、その分析に単なる相関係数で終始している点
である。しかしながら、「組織風土」を考えるうえで一読の価値があると思われる。
2017年5月18日に日本でレビュー済み
「失敗する組織」の実証的研究 -- 企業も大学も
著者は、経済統計の専門家で、この20年ほど「ソーシャル・キャピタル(社会的関係資本)」の調査研究を展開して、経済のみならず、教育、公衆衛生を含む広範な分野のソーシャル・キャピタル(人びとのつながり)の研究者ネットワークを拡大し続けて、多数の著作を世に送り出している。昨今の出版業界は、名著でも売れ行きが少し悪いとすぐに廃刊になってしまうようなありさまだが、この著者の本の数々は、2,3版と重版を重ねているようである。
本書は、タイトル通り、企業の不祥事の原因を、実証的データで提示しているもので、各所でなるほどと思わせるものがある。企業のみならず、大学、政党、宗教団体などを含めた、ある程度以上の規模を持つ組織についても、通用するような知見が実証的に示されている。
大学について言えば、この数年か、各大学がエンジニア発想で学長へ権限集中が唱えられ、名目上は リーダーシップの発揮と言いながら、実態は、この本でも書かれているような、幹部周辺でのお友達 の囲い込みが行われて、実績において凋落の一途をたどっているところが増えている印象がある。大学は企業と異なり、実績が落ちてもなかなか幹部の交代や責任が問われ難い構造となっていて、企業よりも厄介であろう。表面上だけアメリカのやり方などを真似て、外部評価や数値目標などで対処させているが、それも、外部のお友達による評価委員会や運営委員会の塊では、無駄や時間と費用をかけて、失敗を正当化するシステムを作り上げているのが実態に近い。各国の文化や国民性を無視して、表層的に制度だけいじるのは、愚かなことであろう。
政治の分野での、お友達囲いは、もう話題にすらならなくなっている。各省の大臣が、どのような意味でも当該の専門家とはほど遠く、大臣になるのは、業績よりも、政府の幹部のお友達になった方が早いというのは、かつての派閥での割り当てよりもひどくなっている。
ひところ、畑村洋太郎の「失敗学」が流行り、私も面白く読んだが、失敗の要因を実証的調査データなどで証明すること、失敗の要因を指摘するだけではなく、机上の理想を追うだけでもなく、現実的にどう対処すればよいのかを示唆している点で、本著の方がほうが優れているように思える。
著者は、経済統計の専門家で、この20年ほど「ソーシャル・キャピタル(社会的関係資本)」の調査研究を展開して、経済のみならず、教育、公衆衛生を含む広範な分野のソーシャル・キャピタル(人びとのつながり)の研究者ネットワークを拡大し続けて、多数の著作を世に送り出している。昨今の出版業界は、名著でも売れ行きが少し悪いとすぐに廃刊になってしまうようなありさまだが、この著者の本の数々は、2,3版と重版を重ねているようである。
本書は、タイトル通り、企業の不祥事の原因を、実証的データで提示しているもので、各所でなるほどと思わせるものがある。企業のみならず、大学、政党、宗教団体などを含めた、ある程度以上の規模を持つ組織についても、通用するような知見が実証的に示されている。
大学について言えば、この数年か、各大学がエンジニア発想で学長へ権限集中が唱えられ、名目上は リーダーシップの発揮と言いながら、実態は、この本でも書かれているような、幹部周辺でのお友達 の囲い込みが行われて、実績において凋落の一途をたどっているところが増えている印象がある。大学は企業と異なり、実績が落ちてもなかなか幹部の交代や責任が問われ難い構造となっていて、企業よりも厄介であろう。表面上だけアメリカのやり方などを真似て、外部評価や数値目標などで対処させているが、それも、外部のお友達による評価委員会や運営委員会の塊では、無駄や時間と費用をかけて、失敗を正当化するシステムを作り上げているのが実態に近い。各国の文化や国民性を無視して、表層的に制度だけいじるのは、愚かなことであろう。
政治の分野での、お友達囲いは、もう話題にすらならなくなっている。各省の大臣が、どのような意味でも当該の専門家とはほど遠く、大臣になるのは、業績よりも、政府の幹部のお友達になった方が早いというのは、かつての派閥での割り当てよりもひどくなっている。
ひところ、畑村洋太郎の「失敗学」が流行り、私も面白く読んだが、失敗の要因を実証的調査データなどで証明すること、失敗の要因を指摘するだけではなく、机上の理想を追うだけでもなく、現実的にどう対処すればよいのかを示唆している点で、本著の方がほうが優れているように思える。